運命の人

社会人になった頃から、夢に何度も同じおばあさんが出てくるようになりました。私達は一緒にお風呂に入ったり、ニュースについて語り合ったり、おやつを食べたり、とにかく夢の中で仲が良い。私の祖母とは似ても似つかないし、一体この人は誰なんだ?とずっと不思議に思っていました。
ひどい失恋をしたときは、「大丈夫、大丈夫。もう少しで、すごくいい人に出逢えるから」と夢の中で励まされたこともあります。背中をさすってくれる温かい手の感触を、ハッキリと覚えているほど印象的でした。
ちょうどその頃です。私の勤め先に、本当に未来の夫が入社してきました。明るくテキパキと仕事をこなし、人当たりもいい。私達は結構な年齢差がありましたが、特に気にもせず交際を始め、すぐに結婚の運びとなりました。
彼の実家に初めてご挨拶に行き、仏壇に手を合わせたときです。そこに飾られていた写真を見て、時が止まりました。そこに写っていた彼のおばあちゃんは、何度も何度も私の夢に現れたおばあさんだったのです。どれだけ驚いたか……、言葉では表せません。
彼が子供の頃に亡くなったというおばあちゃんは、何かしらで私のことを見つけてくれて、「孫にピッタリだ!」と思ってくれていたのでしょうか。夫はこの話を100%信じてくれて、「おばあちゃんが認めてくれた運命の人だ」と喜びました。
霊感のない私が経験した、唯一の不思議な出来事です。
(群馬県高崎市 杉綾菜さん 36歳)