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心霊体験談「霊感の泉」

堂々とした侵入者

堂々とした侵入者

私が26歳のとき、マンションでたった2週間だけ1人暮らしをしたときの体験談です。

その頃の私は、防犯のために同居人がいるふりをして、帰宅時に必ず大きな声で「ただいまー!」と言うようにしていました。その日もいつも通りに解錠し、ドアを開きつつ「ただいまー!」と叫んだところ、部屋の中から男性の「おかえりー」という声が返ってきたのです。

私はとっさに入室するのをやめてドアに鍵をかけ、110番通報をしました。しかし警察に確認してもらったところ、部屋には誰もおらず、侵入された形跡もなかったのです。私の勘違いだということで警察は帰りましたが、確実に部屋の中から「おかえりー」という声が聞こえたわけで、平静ではいられません。

その日は心配して駆け付けてくれた両親と実家に帰りました。両親は、「警察が痕跡を見落としていて、侵入者は警察が到着する前に逃げたのだろう」と心配していました。私もこわくなり、すぐにマンションは引き払って実家に戻ることを決めました。始めたばかりの1人暮らしを簡単に手放すほど、その声はハッキリと聞こえていたのです。

翌日は土曜日で会社が休みだったので、両親に付き添ってもらって必要な物だけ実家に持ちかえることにしました。その作業中、父親がボソッと「よく知りもしない男に合い鍵を渡したりはしてないな?」と聞いてきました。父は可能性を潰したかっただけなのに私はイライラしてしまい、「そんなことありえないから!こんなときに何なの?」と強い口調で責めたのです。その瞬間でした。パンッ!!乾いた音が部屋に響き、私の右頬が痛み出したのです。

父も母も、私に手を上げていません。それなのに、私は誰かにビンタされたのです。あまりの驚きに3人とも口を開けて見つめ合い、大げさでなく1分弱くらいあっけにとられていたと思います。母が、「何なの、今の……」と言いながら私を抱きしめてくれて、やっと私達は会話を再開することができました。全員が早口で「幽霊だったってこと?」「そういうことだよね」「昨日のもそうでしょう」と確認し合い、キッチンにあった塩を部屋中に撒きながら荷物をまとめて帰ったのでした。私の頬には大きな赤い手形がついており、両親は幽霊に対して怒り心頭でした。

その後、引越し準備では何も起こらず、無事に実家に戻りました。今考えればあの部屋は敷金礼金なしで、家賃も異様に安かったんです。いわくつき物件だったのでしょう。それ以降私は1人暮らしがこわくなり、2年たった今でも実家暮らしです。そして、むやみに「ただいまー!」と叫ばなくなったのでした。

(東京都東久留米市 杉山亜紀さん 28歳)