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心霊体験談「霊感の泉」

子どものころ一緒に遊んだあの子

子どものころ一緒に遊んだあの子

小学校に上がる前まで、わたしには他の人には見えないものが見えていました。羽の生えた小人。きらきらと輝く虫のようなもの。透明な空を泳ぐクラゲのような魚たち。当時はそれが自分以外の人に見えないものだとは思わず、父も母も、近くに住んでいた祖父や祖母も、それらと仲良く暮らしているのだと思っていました。

わたしの暮らしていたところは超がつくくらいの田舎で、近所を行き来するにも車を使うようなところです。兄妹もいなかったわたしは、それらのものばかりを相手に遊んでいました。だけど言葉が通じない、遊び相手にはならないものたちに、つまらなさを感じていたのも事実です。そんなある日、ひとりの女の子が近くに越してきました。

その子は家の裏にあった山の中に住んでいるらしく、昼間、両親が畑にいる間はずっと一緒に遊んでいました。歳も同じくらいで、同性とあって、わたしたちはすぐに仲良しになりました。山や川であそび、家の縁側でおやつを食べて、お昼寝も一緒にしていたくらいです。その子とは、両親が離婚して、母と生まれ育った家を出て行くまで仲が続きました。といっても、1、2年くらいでしょうか。母の実家のある都市に移り住み、間もなく小学校に上がると、わたしはいつの間にかおとぎ話の世界に出てきそうなものが見えなくなり、その子のことすら忘れ、街の刺激的な世界で生きていくようになりました。

そうして大人になり、自分が幼かったころのことはすっかり忘れていました。それを思い出させたのは、母の「あんた昔、よくおかしなこと言っていたわよねえ」という、なにげない一言でした。続けて母は、わたしがよく何もない空中を指さしおしゃべりしていたことも話してくれました。幼いころ見えていたものたちを、まるで走馬灯のように思い出します。同時に、わたしはやっと、あれらが自分にだけ見えていたのだということに気づきました。

「ねえ、近くに女の子が住んでいたよね? 三つ編みの、お下げの子で…そう言えばいつも赤いスカートをはいていたと思うんだけど」

あの子にもそれが見えていたのかどうかは覚えていませんでしたが、自分のおぼろげな記憶の中で、あの子の存在も急にあやふやなものになったように感じ、母に訊ねました。母は驚いた顔をして、「そんな子いなかったわよ」と口にしました。しかしすぐに、何か思い立ったように自分の部屋に行って戻ってくると、1枚の写真を見せてくれました。

「あんたにはお姉ちゃんがいたの。あんたが生まれる前、4歳になった年に、川で死んでしまったんだけど」

写真の女の子はわたしが言ったとおりの格好で、わたしが昔一緒に遊んだ女の子でした。

「お姉ちゃん、妹ができるってあんたが生まれるのを楽しみにしていてね…一緒に遊びたかったんだね」

母の目にうっすらと涙が浮かびます。あの子が死んだ姉だったと言われてもすぐにはピンときませんが、一緒に遊んだ記憶はとても楽しく、思い出すと自分の中できらきらと輝きを放ちます。丸くなってきたお腹を撫でました。そこには、もう間もなく生まれようとしているわたしの子がいます。お姉ちゃんがまたこの子とも遊んでくれるんじゃないかと、ふと、そんな気がしました。

(茨城県日立市 大田由希さん 28歳)