物探し第一回 梅搗先生
引越前夜、父の形見の場所を教えてもらいました。
あの時親しかった人は、あの時大事にしていた物は、どこに行ってしまったのだろう。そんな思いを抱え、人探し・物探しを霊能者にご依頼され、実際に失くしたものとふたたび巡り会えた方の体験談をご紹介します。

父の形見である時計を失くしてしまいました。しかし、そう滅多に持ち出す物でもありませんし、「家のどこかにはあるだろう」と悠長に考えていました。しかし、急な転勤により引っ越すことになってしまい、荷造りがてら探してみたのですが、見つからないのです。親の形見を紛失してしまったかもしれない。そう思うと目の前が真っ暗になりました。ついに引っ越し前夜になってしまい、家の至るところを探しまわりましたが、やはり見つかりません。途方に暮れていたところで、処分する予定の雑誌をまとめた束が目に入りました。その一番上の雑誌に「電話占い師特集」とあったのです。
もうこうなったら占い師にでも聞いてみようか、とぼんやり考えながらパラパラと眺めていたら、そのあるページの下のほうに梅搗先生が紹介されていました。失くし物を霊視で見つけることも可能、とありましたので、「この人に聞いてみよう」と思い、すぐお電話しました。
「あなたはもうすぐ旅立ちの時を迎えます。しかし強い心残りがあります。忘れ物が見つからないのですね」最初の挨拶の直後、突然そう言われ、私はまるで心臓を掴まれたように驚きました。まだ、明日引っ越す話も、父の形見が見つからずに困っていることも、何一つとして話していなかったのです。「はい。その通りです。私は明日この部屋を出ていくのですが、父の形見を失くしてしまい、どこを探しても見つからないのです」そう告げると、梅搗先生はしばらく念じられた後、「コートのポケットの中に見えます。枯れ草色のコートです。その胸のポケットの中から光の波動を感じます。あなたの探している物は必ずそこにあるでしょう」とおっしゃいました。枯れ草色……ベージュのコートなら一着持っています。あまり着ていませんが引っ越し荷物の中にもちゃんと入れました。
占い鑑定が終わったあと、私はさっそく、ベージュのコートをしまった段ボールを開け、取り出して内ポケットを確認してみました。そうしたら、本当に父の形見の時計が出てきたのです。本当に驚きました。なぜこんなところに……。しばらく考えて、思い出しました。あれは二年前の冬、転職活動をしていた私は、最終面接を受ける際、お守り代わりに父の形見をコートの内ポケットに入れて持っていったのです。父が守ってくれたのかどうか、その面接を無事通過し、そうして私は今の会社に採用されたのです。引っ越しの理由の転勤も、その会社の本社に移ることになったものです。あれから二年弱、ベージュのコートの内ポケットにすっかり忘れっぱなしでいたということになります。
何はともあれ、失くし物が見つかって本当にホッとしました。今度こそちゃんと保管場所を決め、大切に保管しようと思います。場所を言い当てて下さった梅搗先生にお礼を言いたいです。ありがとうございました。お世話になりました。
(加藤順子さん 37歳 会社員 東京都世田谷区)