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心霊体験談「霊感の泉」

サヤカちゃん

見えないもの

うちの息子は幼い頃、私達には見えないものとよく遊んでいました。息子はその何かを「サヤカちゃん」という名前で呼んで、とても仲良しの友達のように振る舞っていました。なお、この「サヤカちゃん」は仮名とさせていただきます。本当は別の名前なのですが、それをお伝えするわけにはいかないのです。その理由については後述させていただきます。

息子はいつもサヤカちゃんの話をしていました。「サヤカちゃんってどんな子なの?」と質問すると、息子は「女の子だよ」と答えてくれます。でもどこに住んでいるのか聞いても「知らない」と言うばかりで、「サヤカちゃんに会いたい」と言うと「お母さんのことは嫌いなんだって」と答えるのです。どうしてお母さんのことが嫌いなのか……まだ3~4歳の頃の話ですので、私に意地悪をするために話を作っているとも思えませんでした。幼い子供がウソをついている時ってすぐにわかるじゃないですか。でも、サヤカちゃんの話をする息子は、とてもウソをついているようには見えませんでした。

最初、私はサヤカちゃんを幼稚園の友達かと思いました。息子はわりと人見知りをしない子で、友達もそこそこ多かったので、そのうちの一人だと思っていたんです。でもある日、幼稚園まで息子を迎えに行った時、保育士の先生とちょっとお話したことがあって、「息子はサヤカちゃんっていう子と仲が良いみたいです」と言うと、「サヤカちゃんという子はうちの幼稚園にはいませんよ」って言われたんです。エッ、と思いました。その夜、またサヤカちゃんの話を始める息子に「サヤカちゃんは幼稚園の子じゃないの?」って聞いてみたら、「幼稚園にいることもあるけど、そうじゃないこともある」と、よくわからない返事をしたのです。

そういえば、保育士の先生からちょっと気に掛かることを言われたことがありました。息子は時々、みんなと一緒に遊んでいる最中に突然一人でふらっと群れを離れ、隅の方に行くことがあると言うのです。そして様子を見に行くと、何か独り言をブツブツと言っているらしいのです。「感受性豊かなお子さんなのでしょうね」と言われたので、確かにうちの子はそういうところがある、と流してしまったのですが、サヤカちゃんの件を考えていくと、どうも「感受性豊か」で片付けられる話ではないのかもしれない、と思うようになりました。もしかしたら息子は独り言ではなくそのサヤカちゃんと話しているのかもしれない、と思うようになりました。

だんだん気がかりになってきて、私は息子の奇妙な行動について調べてみました。すると、「イマジナリーフレンド」というものを知りました。小さい子供は空想で友達を作り出し、その友達と会話することがある、というもので、それは特におかしいことではないそうです。サヤカちゃんとは息子の作り出したイマジナリーフレンドなのだろうということで納得しました。

ところが後日、またもや衝撃の事実が発覚したのです。同じマンションに住んでいる初老のおばさんと立ち話をしていた時に、不審者に関する話題になったのですが、「数年前にこの近所で小さい女の子の行方不明事件があった」という話を伺いました。「確か、さやかちゃんっていう名前の子でねえ」おばさんがそう口にした瞬間、私の背筋に寒気が走りました。さやか……息子が遊んでいるサヤカちゃんというのはもしかしてその……? 私は家に帰るとすぐパソコンを起動し、ネットで近所の事件について調べてみました。すると本当に数年前、近所で「さやか」という名前の女の子が行方不明になっていたんです。

その夜も息子はいつもどおりサヤカちゃんの話を始めました。私はその話が恐ろしく聞こえてたまりませんでした。もしかしたらサヤカちゃんは、もう既に死んでいて、息子はサヤカちゃんの霊と遊んでいるのかもしれない……。

その時です。突然、息子が窓の方を向いて「あっ、サヤカちゃんだ!」と言って立ちあがりました。「ヒッ!」情けないことに私は思わず悲鳴を上げてしまいました。そして腰を抜かす私を尻目に、窓の方に小走りで向かっていき、窓ごしに何かブツブツと独り言を喋り始めたのです。最初は嬉しそうに話していたのですが「えっ、どうして」「そうなんだ」「残念だね」と、寂しそうな声に変わっていきました。そして「バイバイ」と言って、窓の外に向かって手を振り、居間のテーブルの方に戻ってきました。そして「サヤカちゃんはもう遊べないんだって」そう言い出したのです。息子が窓ごしに話していた相手はやっぱりサヤカちゃんでした。「どうして?」震える声で息子に聞くと「遠くに引っ越すことになったって」と言っていました。

それから数日後、近所でひとりの女性が逮捕された、というニュースが流れました。それはとてもショッキングな事件で、実の母親が娘を殺した、というものでした。そして、その犠牲となった娘さんの名前が、さやかだったんです。以前、息子に「お母さんもサヤカちゃんに会いたい」と言った時「お母さんのことは嫌いなんだって」と答えられたのを思い出しました。あれは私のことが嫌いなのではなく、母親が嫌いという意味で、その理由は、母親に殺されたから……。その恐ろしい仮説で考えると、今まで不可解だった息子の言動が全てしっくり嵌まっていくのです。

冒頭、サヤカちゃんというのは仮名である、とお話しました。その理由はこちらになります。本当の名前でインターネット検索すると今でも普通に引っ掛かる事件だからです。

息子はそれ以来、サヤカちゃんの話をまったくしなくなりました。そして、私はそれからしばらく不眠症になりました。サヤカちゃんの一件があまりに不気味で不可解で、悲しい結末でショックだったのです。結局、主人と相談して、私達一家は当時住んでいたマンションを引っ越し、隣の市に移り住むことになりました。

今では息子も小学校に上がりました。まさにわんぱく盛りといったところで、すくすくと元気に成長しています。それでも私は時々、あのサヤカちゃんの件を思い出してしまうのです。あの頃、息子が遊んでいたサヤカちゃんは、やはり空想で作り出したイマジナリーフレンドだったのでしょうか。私にはとてもそうは思えません。

(大分県別府市 椎名涼子さん 34歳)